4月29日(日)、今年度初となる5回目のアクティブブックダイアローグⓇを開催しました。
題材書籍は、最近ブログでも書き始めた「ティール組織‐マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現‐」
1月に発行となって以降各方面でも話題となり、すでに3万部を売り上げアマゾンでもベストセラー(2018年4月時点)となっている500ページ超の大作です。
通常のABDなら1回3時間程度で終えますが、今回はなんと1日でティール組織を読破し概要を理解する企画に挑戦!ということで午前・午後と2回のABDを約6時間かけて行いました。
2回のABDで読み切れるかは当然人数と参加者の方々の読解力やプレゼンにもかかっていましたし、どうなるかは予測できませんでしたが、当日は午前午後合わせ過去最大19名の方が参加。ティール組織への注目度が伺えるとともに、新潟にもこれだけ関心のある方がいるということ驚きました。
今回は当日の様子をご紹介します。
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オリエンテーションとチェックイン
初参加の方が8割だったので、手順の説明だけでなく、ABDが誕生した背景や私がABDを新潟で開催してきた意図をお話しました。
チェックインでは、1日の学びをともに創り上げる仲間としての関係づくりを図るため、いつも以上の人数でしたが、いつも以上に丁寧に全員で行いました。
今回は、大学職員、企業経営者、NPO職員、小学校教員、行政職員、大手企業社員、個人事業主、地域おこし協力隊、コワーキングスペーススタッフと、年代も所属もバラバラ。こんなに多様な場も稀なのではないかというくらい多様な方々が来られていました。
ティール組織の学びを分かち合い、深い対話をするためにこの上ない布陣です!
パート分けとコ・サマライズ
今回は午前18パート、午後16パートにページを分けて実施しました。
通常ならばもったいない!と思いながら本を解体してました(毎回やっていますが慣れません)が、今回は英治出版さんのご厚意でABD実践者の方に対して、な、なんとティール組織のゲラ(校正用に刷った原稿)を無償でご提供いただいていたので、活用させていただきました!
背徳感を感じることなく、思う存分ABDできました。本当にありがとうございました。
素晴らしき英治出版さんのサイト↓
(新潟市は私だけ?あとゲラ希望者一番乗りだったそうです…(笑))
当日は季節外れの気温で暑い中、みなさん読書に集中していました。
初参加者の方も多かったのもありますが、なにより難しい組織・マネジメント論の本…予定の時間を超過するも、皆さん見事にまとめ上げてくださいました。
壁一面に貼られた18パートは圧巻。280ページ相当の情報量をサマライズしたんですから、すでに達成感もありました(笑)
白熱のプレゼンタイム
いよいよ、リレープレゼンテーションが始まりました。1パート2分が目安です。
前半は組織の発達の歴史と特徴、ティール型とは、自主経営(セルフマネジメント)、全体性(ホールネス)の途中まで。
ファシリテーターとして一度通読したからこそ分かりますが、一人ひとりのまとめ方、書いてあるキーワードにも個性が出て、プレゼンにもご自身の背景が反映されています。
「あ、そう捉えたんですね!」「なるほど、その解釈は興味深い!」と、タイムキーパーしている私が楽しませていただきました。
「違う」から面白いダイアローグの醍醐味
全員のプレゼンを聴いた後は、サマリーをじっくりと眺め、各自が心に浮かび上がってきている問いと向き合ってもらいました。皆さんの問いをもって、いよいよダイアローグです。
暑い中集中してサマライズし、30分を超えるリレープレゼンテーションを経てみなさんお疲れかと思いきや、口火を切ったらどのグループも対話が止まりません。
ティール組織というこれまでの私たちの常識を覆す理論、そしてフレデリック・ラルーから投げかけられた問いに刺激され、泉のように溢れ出た知的興奮が熱気とともに部屋を包み込んでいました。
ほとんどの方が初対面グループながら、一人ひとりが普段なかなか会う機会もなければ、ましてや対話するようなことなどない方同士。組織のサイズも文化も慣行も違いますが、対話によって引き出されるその違いが、皆さんのダイアローグを加速させたのだと思います。
かくいう私もダイアローグに参加していましたが、時間が足りませんでした。
休憩を挟んで後半戦
休憩中もそれぞれティール組織を発端とした会話が止まらず楽しかったですが、顔触れも一部入れ替わり後半も同様にコサマライズが進んでいきました。
後半16パートでは、全体性(ホールネス)後半、存在目的、ティールの導入と立ち上げ、ティール社会とティール組織を読みました。
前半のダイアローグで浮かび上がった問い、気になっていた部分もリレープレゼンテーションが進むにつれて補完されていきました。ティール組織の全貌がパズルのピースが埋まっていくように形づくられていきます。午後になって気温も最高潮。
ダイアローグは前半からメンバーをシャッフル。一日の学びが収束されていくように、さらに様々な話が繰り広げられました。
一日の学び・気づきを収穫(ハーベスト)
目一杯の時間で対話をしてきましたが、やはり学びのデザインをする者としてリフレクションは不可欠。時間ギリギリまでを使って、お一人ずつ「ティール組織の学び・気づき」と「ABDの感想」をまとめ、発表してもらいました。
参加者の方々に書いていただいたコメントを一部ご紹介します。
【ティール組織に対する気づき・学び】
「信頼がベースであること。存在目的が重要。変化に対応し続けるためには何をすればいいのか」
「(ティールに対して)気付いている人と気づいていない人の間にどう橋を架けるかを考えていたが、その前に”そもそもなぜティール組織は必要か”を考える、対話をする必要がある。」
「組織の経営者として組織の存在目的を明らかにすること、それを全員と共有することを怠っていた。それなしに自主性に任せている感がややあり、にもかかわらず口出しするという一貫性に欠ける行動をとっていた。猛省。」
「信頼関係を作ることにつきるような気がしました。そのために一人ひとりと丁寧に向き合う。自分が自分でいられる組織=ティール組織。自分の協議会で実践しようと思います。」
「実践的な内容が多く、大変満足。紛争解決メカニズム、助言プロセス、安全な空間づくり。誰も座らない椅子ミーティングは実践したい。」
【ABDの感想】
「ABDは、本への理解はもちろんですが、参加者の皆さんと対話できるのが何より素晴らしいと思いました。」
「知識を得る読書、まとめる、発表、ダイアローグと盛りだくさんでお得な感じ。ダイアローグは自分と立場・所属が違う人ばかりで楽しかった。」
「子供時代からこのような本の読み方をすることがティール組織の眼を育てると思いました。この本は今回だけでなく何度もABDで実施してほしいと希望します。」
「耳と目から入る情報は素晴らしい。もう少し(プレゼンを)分かってもらうことへ傾倒しても良かった。」
「全520ページの本を仲間の力で読み解く、慣れてくると前の人の話をつなげられる。一人で読むのもいいけど、こうした時間のシェアは結果効率化や時短につながる。忙しい主婦にはありがたい学びの場だと思いました。」
参加者の皆さんの協力のお陰で、無事にティール組織ABDを1日で終えることできました。
GWのお休みのなかお付き合いいただき本当にありがとうございました!
今回のABDをふりかえって
ティール組織をABDでやってみて改めて感じたこと。
それは、ティール組織はこれまで疑問すら抱かなかった組織というシステムそのものに対し、一度考えだしたら止まない問いを投げかけてくれているということでした。
「あなたはどのような組織で生きていきたいか?」
「あなたはどのような組織をつくりたいか?」
「今の組織は、自分らしさを活かし合えているだろうか?」
「世界が変わりつつあるなかで、あなたは何をするのか?」
こうした問いが今回のABDによって湧いてきて、私のなかに今まで以上に強い探究心と好奇心が芽生えました。
ティール組織は目を見張るエビデンスとともに現在の日本の組織から見ても共感を呼ぶ指摘をしていますが、一方でまだ受け入れることが出来ない人も多いのではないでしょうか。
頭では理解できるが、心の底からはティールが示す世界を迎え入れることができない。
もしかすると、順応型(アンバー)や達成型(オレンジ)の世界に染められた学校教育や社会で長い間育ってきたことで、それが世の理であるように信じてやまない人かもしれません。
ともすると、信仰していたものが変わる「改宗」のような、それくらいの変化が伴う人たちもいるのではないかと思います。
日本の多くの企業、そして政治の世界では、恐らくこうした人たちがこれからの日本が進むべき道を決めるであろう実権も握っているというのも、また避けがたい事実ではないでしょうか。
こうした方たちが今後どのようにティール組織が投げかける問いと向き合っていくのかを、これからも実践・研究を通しならも見ていきたいと思っています。
また、次回の開催もご期待ください。
※今回タイミングが合わず参加できなかった方もいるかと思いますので、年内中にもう一度ティール組織ABD検討中です!開催のご要望ありましたら、メールまたはSNSからお気軽にコメントください。
ティール組織について連載はじめました。よろしければこちらもどうぞ!
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山本一輝
Idea partners
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