
2018年2月に開催された未だかつてなかった、公務員を対象とした週末3日間のイベント・OMO Niigataがさらなる進化を経て、帰ってくることとなりました。
「3日で攻めの公務員へとつながるマインドを養成しよう」と始まったこのイベントは、豪華なゲスト、コーチ陣とそのコンセプトが多方面で話題を呼び注目されました。

※前回の様子はこちらからご覧になれます
この企画は、公務員のマインドセットを変えるための機会としてなんと1人の県庁職員の思いと行動が発端となっています。お時間ある方は、主催者のnoteもぜひご一読ください。
まさに、これまでにない新たなチャレンジをしようとする個人を応援すべく、Idea partnersもvol.1ではプログラムアドバイザーとファシリテーターを担当させていただきましたが、vol.2も同様に関わらせていただくこととなりました。
もともとOMOは、72時間で起業するシアトル発の起業体験イベント・startup weekendより着想を得ています。こちらは基本的には株式会社などの枠組みとして、利益の拡大を想定したビジネスプランを考えるものでした。
主催者との企画の壁打ちを通して、来るvol.2では民間企業の副業解禁の動きを受けて、公務員でも進むであろう副業解禁や働き方改革、パラレルキャリアの必要性の高まりなどを背景に、”NPOを3日で立ち上げる”をコンセプトとしました。
参加申込ページはこちらからどうぞ!
既に導入されている公務員の副業解禁の方針でも、NPOでの勤務や地方活性化に取り組む団体での活動が含まれるようになったことがポイントです。
【参考】
言葉自体は皆さんも当然ご存知と思いますが、NPOのイメージがまだピンとこない方もいるのではないでしょうか。
今回は2日目、3日目から一般の方の参加も可能ですので、開催に向けてNPOの存在意義と本質的な考え方、そしてこのイベント自体が持つ意義についてもプログラムアドバイザーの観点から綴っておきたいと思います。
NPOの存在意義とは
改めてですが、NPOは、Nonprofit Organizationの略で非営利団体を指す言葉です。 非営利で社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体や、法人格としてNPO法人を得た団体を指します。
NPOを説明するときに私が紹介しているのは、その目的の違いで説明をしています。
まず株式会社の目的は単純に利益を拡大し、株主たちにその利益を配当することが使命です。 そのために事業を行っていく訳であり、そのなかには利益は前提としながら、利益を追うことだけでなく社会的意義のあることを事業として行う場合も含まれてきます。
社会起業家として本格的にそれを取り組む方もいれば、最近ではSDGs(持続可能な開発目標)を意識した取り組みや、CSR(企業の社会的責任)として社会に何らかの形で利益還元しようとする動きもあります。 そして、NPOの目的を端的にいえば、社会課題の解決が使命となります。
しかし、どんな分野でも良いかというと、もちろんそんなことはありません。以下の活動分野に該当し、かつ不特定多数の利益に寄与するものになります。
保健、医療又は福祉の増進を図る活動
社会教育の推進を図る活動
まちづくりの推進を図る活動
観光の振興を図る活動
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
環境の保全を図る活動
災害救援活動
地域安全活動
人権の擁護又は平和の推進を図る活動
国際協力の活動
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
子どもの健全育成を図る活動
情報化社会の発展を図る活動
科学技術の振興を図る活動
経済活動の活性化を図る活動
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
消費者の保護を図る活動
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
つまり、20分野のなかに当てはまり、企業や行政の取り組みだけでは実現できないこと、もしくはその取り組みでは網羅できない隙間を埋めるような活動が期待されます。
NPOは株主の代わりに会員制度や寄付がありますし、税金面でも優遇されています。助成金や補助金を貰える機会も多いです。ですので儲かるかどうかではなく、活動内容や団体のビジョンが共感されるかどうかが重要です。
株式会社では税金という形で社会へ還元しますので、健全な形で持続的に利益を生み出せていれば良いのですが、NPOは存在し続けるためには社会に貢献する取り組みであると同時に、いかに人々に受け入れられ、求められる団体であるかも指標になると思います。
そして、個人的にはここが大きなポイントなのですが、NPOは未来永劫存続することをそもそも考えるべきものではないのではないかと考えています。
どういうことかというと、NPOが役目を終えて解散になるとき、社会はどんな理想の姿になっているかをありありと描けないような活動は、本当の意味で社会課題の解決につながる活動とはいえないのではないでしょうか。
どんな活動もやらないよりはやった方がいいのは間違いありません。 例えば道端のゴミ拾いなどの環境保全活動も大切なことであり、誰かがやらなければならないことです。
しかし、捨てられたゴミばかりを拾う活動を続けていても、そのゴミが捨てられなくなることは決してありません。根本にある「なぜゴミを捨てられてしまうのか」という本質は解決されません。
誰にでもできるボランティア活動であれば、いわゆる対処療法的なアプローチでも問題ありませんが、NPOという形をとって行う活動については、この根本的で本質的な課題へのアプローチが必要です。
社会のためになるような対処療法的活動だけでなく、規模の大小は別としても、社会の一部を変えるような根本解決的活動も視野に入れて考えなければなりません。
そして、多くの方が誤解していそうなのですが、NPO=ボランティア団体ではありません。 根本解決的活動に力を入れていくために、継続するためには当然ですがスタッフが不自由なく生活していけるだけの利益の確保が必要になります。
寄付を行ったり会員になったりする側に回っても考えてみてください。 社会の一部を変えるようなビジョンを描き、そのためのアクションしていく団体だからこそ、多くの人々に求められるようになり共感し応援したくなるはずではないでしょうか。
ぜひOMO Niigata vol.2では、何をするかだけでなく、自分たちが役目を終えて問題が解決された世界(ありたい姿)までを描いてもらえたら嬉しいです。
この開催に込められた意義
OMOが開催されることは、社会にとってどんな意義があるでしょうか。 公務員の方々が積極的に地域の活動にパラレルキャリアとして関わることも大きな意義がありますし、民間と公務員とが互いの立場を越え、チームで協働し企画を考えていくこともこれまでにない素晴らしい一歩ではないかと思います。
私もプランニングをする上で考えてみました。
OMOの開催意義、それはまだ注目されていない社会にある誰かの困りごとを取り上げ、世の中に知らしめることだと考えます。
問題解決においては、問題をいきなり解こうとする前に、「そもそも何が問題なのか」を見立てる、問題発見力の方が重要であるといわれています。
「何が問題であるか」という答えは一つではないかもしれませんし、もしかするとこれまで問題に扱われていなかったものが問題になるかもしれません。
自分たちの当たり前や先入観を超えて、3日間で今まで気づけなかった問題を見つけ、最後のプレゼンテーションを通して問題の発掘と見える化をしてもらえたらと思います。
参加者の皆さんがジブンゴトになる問題と、一緒にやりたいと思える仲間を見つけ、1組でもいいので本当に多くの人に求められ共感を呼ぶNPOが生まれたら本望です。
そう、だからこそOMOはスキルよりもハートが大切です。 既に色々とやっている人よりも、これを機に一歩を踏み出そうという方にこそ、お越しいただきたいです。
2月8日・9日・10日の3日間、参加者の皆さんとお会いできるのを楽しみにしてます!
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山本一輝
Idea partners