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【OMO Tomiya】市民と自治体が協働し、本気で社会起業を考えた3日間。


Startup Weekendを基に開発した、新潟生まれのアイディアソン型研修プログラム・OMO

公務員一人ひとりのマインドを変えるべく、官民協働と公務員のパラレルキャリアをテーマに、3日でNPOを起業するという形で開催したOMO Niigata Vol.2から半年…


今回ご縁をいただきまして、初の県外開催である宮城県富谷市を舞台にしたOMO Tomiyaを8/23・24・25の3日間に渡って開催し、今回もファシリテーターを務めさせていただきました。


OMO Tomiyaは富谷市の全面バックアップの下、「まちも自分もワクワクする、社会起業を3日を立ち上げる!」をテーマに、富谷市の旧町役場を活用して作られた、起業創業の拠点「TOMI+」を会場に起業を志す富谷塾の塾生を主役に行われました。




社会起業にチャレンジしてみたい市民の皆さんがメインという、公務員を対象とした過去2回の開催とは異なる民間が中心となったOMO。


これまでとは違う起業プランや雰囲気のOMOで、ファシリテーターとしても学び多き、素晴らしい3日間となりました。

OMO Tomiyaによって、起業支援や地域づくりの新たな可能性を感じましたので、今後の開催へと繋げる意味も込めて、3日間を振り返ってまとめておきたいと思います。



 


DAY1 オリエンテーション&チームメイキングパーティ



金曜日の18時からスタートしたDAY1 まずは、お決まりのオープニングムービーを流し、これから始まるOMOの3日間への決意を高めるとともに、若生市長より挨拶をいただきました。 (若生市長は富谷塾に毎回来られ塾生の皆さんを激励されていますが、今回もなんと3日間顔を出してメッセージをくださいました!)




初日の富谷塾生の参加は15名ほど。 オリエンテーションで趣旨目的や過ごし方、3日間のスケジュールを共有し、まずは自身の起業プランのタネを探す意味も込めてキャリアの棚卸しのワークを行います。


じっくりと内省した後は数名でグループを作って記入内容を共有。お互いの関心やスキル、参加に至たるまでの背景となるストーリーを話しながら、チームになれそうな仲間を探していきます。


その後、恒例のピッチタイム。1分間で自分の現時点の起業アイディアを端的に話します。


短時間で印象付けるエレベーターピッチが重要だと言われますが、慣れない人だとどうしても背景や思いが中心になってしまい、何をしたいのかが上手く伝えられなかったりするもの。起業初心者に限らず、短い時間のプレゼンは難しいですよね。

今回はなんと初日に7名がピッチをしました。




正直この人数でここまで名乗り出るとは思わずでびっくりです。 この辺は単純に公務員と民間の違いだけでなく、それ以上に富谷塾の皆さんのスキルを埋めて余りあるくらい熱量が現れていたように思います。

みなさん、自分事の課題を掲げられており、いずれも個性豊かで楽しみなピッチばかりでした。

ピッチを終えたら、チームメイキングパーティの始まりです。


ちなみに、お食事は 富谷で 「AMEHARE(アメハレ)」を運営されている、株式会社ゴリラファームさんのオシャレなカフェ飯風のケータリング。気分もあがりますね。



チームの作り方、ルールを伝えたあとは食事を摂りながら交流し、ピッチしたメンバーが中心となって、1分では伝えきれなかったアイデアの概要や互いの興味関心を話しながら、2日間をともにする仲間をスカウトしていきます。

Startup Weekendと同様に、起業の前となる仲間集めからはじめていきます。



交流は時間いっぱいに盛り上がり、結果として初日は4チームが誕生しました!




DAY2 プランニング&バリデーション


2日目は午前9時からスタート。長い一日が始まりました。


2日目から合流するメンバーを迎えて改めて参加者同士で自己紹介。そしてオリエンテーションで、改めてソーシャルビジネス(社会起業)と一般的な起業の違いを伝え、具体的な起業事例をインプットしていただきました。


その後、昨夜発足したチームのリーダーと、アイディアを持った方々により2回目のピッチタイム


昨日の反省を活かし、皆さんやりたいことのイメージを端的にまとめて話されていました!



ピッチ後はメンバーになってほしい方々にアイデアを伝えるスカウトタイム。

どんなにやりたいプランでも、CEO含め3名以上にならないとチームは作れません。


無事3名以上のメンバーが集まり、チーム登録が出来たところから本格的な話し合いがスタート。各々の進め方でアイディアを具体的に検討していきます。 昨夜よりもより具体的なイメージが話されたことで、メンバーの移動が起きたところもありました。 2日目は新たに2チームが誕生、計6チームとなりました。



ちなみに、2日目限定ではありましたが、富谷市の職員さんも富谷塾生たちと一緒になってプランを練り上げていくサポートメンバーとして各チームに参加してくださいました。これぞ官民協働です!





そして、ランチを挟み午後からはコーチングタイム

検討中のアイディアについて、俯瞰的な視点でコーチよりアドバイスをいただきます。

今回は以下の方々をコーチとしてお招きしました。



ちなみに、新潟でともに立ち上げたOMO発起人である公務員の高橋さんは、OMO Niigata vol.2を最後に公務員を退職さたこともあり、今回はコーチとして改めてお越しいただきました。


コーチングタイムは一回15分の真剣勝負。専門分野の異なる各コーチの持ち味を活かして、質問を投げかけていきました。





参加者の皆さんの熱量から、コーチングタイム終了後も各チームでコーチとの積極的なコミュニケーションが起きていました。




コーチから貰ったアドバイスをどう活かすかはチーム次第。 その後、夜までプランを整理しまとめてみたり、どのようにアイデアを検証するかの対話は続きます。


時間が経つに連れ、方向性が定まらず二転三転と変更を繰り返すチームもあれば、最終成果が見えつつあるチームもあったりと、三者三様なチーム模様が見えてきました。



ファシリテーターとしては、今回の富谷はOMOやStartup Weekendの経験者が殆どいなかったこともあり、総じてバリデーション(検証作業)が遅いのが気になりましたが…


最終日、どんなプランへと仕上げていくのか楽しみです。


DAY3 プレゼンテーション


最終日も9時スタート。泣いても笑っても残り8時間。

前日21時に解散しその後、深夜3時までやったチームもあったとか。

最後のオリエンテーションにて、改めて自分たちのプランを見直す視点、なぜやるのか・何のためにやるのかという問いを持っていただくためTED動画を通してインプット。

午前中から早い段階で、各チーム NO Talk, All Action モードになってきました。




プレゼン内容の作成やブラッシュアップ、プレゼン練習に入るチームもあれば、最後の最後までプランがまとまらず、もう一度バリデーションに出かけていくチームも...

各チーム、最後の命運を掛け追い込みをしていきます。コーチの皆さんも最後まで辛抱強く付き合ってくれました。改めて、コーチの皆さんには本当に感謝です。


そして、この短時間でプランを練り上げ仲間と議論を繰り返し、様々な感情が去来し、方向性が右往左往していく様はまさにスタートアップ期間の縮図


本当に起業しなければきっと人生では経験し得ない経験が、OMOでは再現されていると言えます。


そして最終プレゼンテーション

今回、審査員は以下の4名の皆様にご協力いただきました。



プレゼン時間5分、質疑応答5分。計10分間で自分たちの3日間の成果を審査員に伝えていきます。審査員の皆さんも、真剣にプレゼンに耳を傾けます。


独特の空気感。参加者の皆さんの緊張感がこちらにも伝わってきます。


気になる各チームのプレゼン内容は…



1.TOMI CLU

富谷市の公共交通機関の不便さに着目。

30代〜40代の男女、富谷高校の学生をターゲットに、富谷市の情報を編集して周遊するバスを走らせることで、富谷市の魅力を知ってもらいながら、公共交通機関の不便さの解消と、乗客同士の交流を狙う。収益は運賃とバス内の広告収入。




2.とみやー

子育て中のお母さんの息抜きができる社会を目指し、「ママオフ」という、ママの息抜きをしてもらう会員制コミュニティサービスを展開。

市営託児施設の利用率の低さに着目し、託児施設に預けた際にママ同士で参加できるアクティビティを提供するマッチングアプリを開発。収益は会員料。




3.TOMIYA BASE

新たなローカルスイーツブランド、「とみやジェラート」を創設。

リアカーで公民館や福祉センターを回り、地域の高齢者にスタイリッシュな制服を着てもらい、販売してもらう。富谷市名産のブルーベリーやはちみつとのコラボで商品開発をする。

収益はジェラート(500円)の販売。





4.TMK

元々宿場町だった富谷市内に宿泊施設がないという問題を解決するため、新町の空き家をゲストハウスとして改装、定期的にイベントを開催し、市外からの集客と、地域住民との交流を狙う。改修費用はクラウドファンディングで調達。収益は宿泊費。





5.農業魂

富谷市内で問題になっている耕作放棄地を利用し、イタリアントマト(シシリアンルージュ)を栽培、販売し、新規就農者を増やしていく。持続可能な農業サイクル、「SD農's」と、「とみやトマト祭り」の実現を目指す。収益はトマトの売上。





6.アフター介護

介護を終え(対象者が亡くなり)、喪失感、孤立感を抱えた方をポジティブにケアするサービス、「ファミカイGO!」を展開。介護を終え、介護経験がある方を対象に、認定資格制度「アフターケアプランナー」を創設。収益はテキストの受講料や試験の参加費。




※プレゼン内容については、OMO発起人の高橋さんのFacebook投稿より引用させていただきました



全チームのプレゼンが終わり次第、別室に移動し、審査員とコーチの皆さんの審査タイム。

時間ギリギリまで意見交換が行われました。




審査結果は……


Audience Award&Entrepreneurship Award「TMK」



なんと、TMKはダブル受賞となりました!




そして1st Placeは…「TOMIYA BASE」!!



最後に富谷塾生の3日間の健闘を称えて、審査員の皆さんより講評をいただき、メインプログラムは終了となりました。





リフレクションタイム


達成感や解放感も束の間、最後に3日間を振り返って、学びや気づきを言語化します。

ここがstartup Weekend大きく違うポイントです。


チームでお互いの貢献に感謝しあったり、非日常的な体験のなかで新たに気づいた自身の一面など、本気で臨んだからこそ語られた言葉はどれも感慨深いものでした。






この振り返りの場で何が語られるのかが、学びのデザインをするファシリテーターとしては、全てといっても過言ではありません。


参加者の皆さんが書かれたリフレクションシートからの一部抜粋をご紹介します。


 


「考えたことを、形にする難しさ、人に伝える難しさ、マネタイズまでつなげる難しさを感じましたが、数人で声を上げて、検証・実証して、人に伝えること自体が重要だなと思いました。表に出るのは本当に氷山の一角にしか過ぎない。」


「いろいろな立場の方と、一つのことをやり遂げること”協創”の大切さを実感した。自分でも社会起業に取り組みたくなりました。」


「机上だけではダメだということ。ダメだと思っても掘れるところまで掘る。チームの大切さ。やっぱり一人では無理。」


「いつか実現したいと思っていたことは、ゴールを明確にすれば実現できるということを強く実感した。」


「一人では気づけなかった広がり・可能性を教えてもらえた3日間でした。大好きな富谷をこんな多方面から深く掘り下げることで5年後、10年後の未来のわが町が楽しみで仕方なくなりました」


「なにより知識が、インプット足りない!勢いしかない自分から、いつか私も助けてあげられる人材に成長したい!!」


「参加して良かったと心から思えた。ターニングポイントになったと思う」



 


OMOにとって、起業体験とは一つの手段。学びと成長に必要な題材でしかありません。



起業の流れを体験して終わるのはなく、参加者一人ひとり(One)が意識を変わり、明日からの行動が少しでも変わっていくことが目的であると考えます。



過去と他人は変えられませんが、未来と自分は変えられます。



社会に影響を与えられるのは、何もビジネスや政治などシステムのレベルだけではありません。

誰にでも出来て、確実に社会に影響を与えられる方法…それは個人の行動が変わることです。


地域を直接変えようとするのではなく、一人ひとりが主体的な生き方を、起業家精神の下に挑戦し学び続ける人を増やすこと。その結果、バタフライエフェクトによって、未来がよりよいものへと変わっていく。


これからの地域づくりは、すべて人づくりを起点に考えるべきであり、OMOのような取り組みがその可能性を1%でも高められるきっかけとなれば本望です。



今回の富谷市は改めて貴重な経験となりました。富谷市の皆さん、3日間ありがとうございました!




県外への進出を果たし民間対象にも広がったOMO。次はどこでどんなOMOが生まれるのか。

そして、誰のターニングポイントとなるのか楽しみです。


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山本一輝


Idea partners


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