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自分にあった新しい働き方をはじめよう。人生100年時代の「3つのフク業モデル」

更新日:2023年3月7日



皆さんは何か副業をされていますか?

今回は、まだやっていないという方でも関心のある方が多いと思われる「副業」をテーマに、これまで講演でお伝えしてきたことも交え、私の考えをお話したい思います。


副業というと、これまではアルバイトやパートの方がダブルワークで仕事を掛け持ちをしたり、会社員をしながら農業をするような限定的なケースでの副業・兼業が認められてきましたし、それほどその働き方が注目されることもなかったと記憶しています。

そんななか、ここまで注目されるようになったのは、恐らく2018年1月に国が副業・兼業をモデル就業規則のなかで初めて容認へと方向転換をしてからではないでしょうか。

以降、正社員という雇用形態の方でも「副業解禁」となり、ネットニュースやブログでも副業の文字を見かけるのが珍しくなくなって来ました。

これまでの会社構造ように年功序列で給与が上がりにくくなってきていますし、勤めている会社がいつどうなるか分からないという昨今の情勢を鑑みれば、贅沢のためというよりは、ゆとりや備え・蓄えという文脈で若い方を中心に関心が集まっていると思います。

現在、大手企業の多くが副業を容認していますし、一部の地方自治体でも公務員の副業が条件付きで認められるようになっています。


副業を容認している企業例

「関心はあるけど、何からはじめたらいいか、どうしたらいいのか分かない…」

多くの方のそんな興味と不安のマリアージュを上手く利用するかのように、SNSを見ていると、”1か月で〇万稼げる!””初心者でもOK、絶対儲かる!”といった謳い文句の胡散臭い広告が毎日のように流れてきています。

このブログを読んでいらっしゃる方はきっと大丈夫だと思いますが、副業という切り口でそうしたビジネスに引っかかってしまい、お金を失うばかりか辛い目に遭ってしまった方もいらっしゃるのだと思うと、多様な働き方の実現を支援する者としては心が痛みます。

副業でお金を稼ぐ方法については他のブログやオンラインサロンにお譲りし、今回は副業への興味と不安を抱えた方が副業を行う意義と本質を正しく理解していただけるよう、誰でも始められる3タイプに分類したフク業モデルとその特徴をキャリアコンサルタントの立場からご紹介します。



 


お金だけの問題じゃない、なぜ副業が重要か?

3タイプの説明に入る前に、前提となるお話にお付き合いください。

先ほども触れたお金の話ですが、お金に不安を覚える感情の元を辿ると、恐らく将来が見通せないことへの不安と、これまでのセオリーが通じなくなった今、どのように生きたら良いかというセオリーが自分の中にないからではないでしょうか。

そんな皆さんにぜひ読んでもらいたいのが、リンダ・グラットン著の『LIFE SHIFT』です。

こちらの本は現役で仕事をされている全ての方にオススメしたいのですが、本で紹介されている要点をまとめたものが以下となります。



私たちの寿命はこれからも医療技術などの進歩により伸び続け、今の10代は100歳以上を生きる可能性が高く、20代・30代の皆さんも二人に一人が100歳近くまで生きることになるという予測が出され、日本国内でも話題となりました。

グラットン氏は、「人生100年時代」では18~22歳で教育を終え、仕事だけし続け60歳で引退し生涯を終えるという3ステージ制のこれまでの当たり前の生き方は変わって行くこととなり、一人ひとり教育が終わる年齢はバラバラであり、仕事以外にも様々なステップを踏んでいき、引退する年代もバラバラなマルチステージ制になっていくと提唱しています。

そして、これからのマルチステージ時代を生て行くには、これまでのお金や株といった「金銭資産」だけでは不十分であり、知識やスキルといったお金を稼ぐための力に繋がる「生産性資産」、心身の健康に繋がる家族・友人との良好な関係などの「活力資産」、そして生き方の変化に対応していくために重要な柔軟性や新たな経験に対する前向きな姿勢、ご縁へと繋がる多様な人脈など「変身資産」を含んだ4つの資産をバランスよく蓄えていく必要があるとしました。

かつて日本では「24時間働けますか?」といったCMや企業戦士といった言葉が表すように、モーレツな仕事に人生を捧げ続けてきたことで、引退しお金はあるけどやりたいことがない・仕事以外に出来ることがない・友人や知り合いがいない・パートナーと不仲な余生を過ごされている高齢者の方も見受けられます。

それがかつての当たり前であり、そうした余生の過ごし方が幸せか否かは人それぞれなのでなんとも言えません。 しかし、お金があることで余計な不安は低減されるかもしれませんが、潤沢にお金があったからといってもそのまま幸せに繋がるとは限りません

お金という一面的なテーマだけでなく、自分らしい人生、自分だけの幸せを考えるためにもぜひ一度はLIFE SHIFTが示唆する4つの資産形成の視点で考えてみることをオススメします。

人生100年時代に考えたい3つのフク業モデル

LIFE SHIFTの4つの資産形成の観点で私たちのこれからの生き方を考えると、副業というのはもっと多様な捉え方が出来て、お金を貯める以外の意味があるのではないかと思います。

そこで考えを整理したのが、これまでの副業に福業・複業を加えた、3つのフク業モデルです。

1.副業(サイドビジネス)

1つめは一番馴染みのあるのが「副業」です。お金のために始める副業はサイドビジネスとします。

ポイントは、金銭資産の構築が目的であり、その副業で行う仕事は必ずしもやりたいこととは限らないということです。ブログやアフィリエイト、ECサイト運営をしたくて仕方ないという方は稀ではないでしょうか。

隙間時間に行うことも多くて、稼げる金額は人によりますが本業を補う程度の月数万のような比較的少額が多いと思います。もちろん、なかには本業よりも稼いでいる方もいらっしゃり時々話題になったりしていますね。

ちなみに、会社や周囲の人に黙って副業を行う内緒の副業を「伏業」と呼んだりします。隠す理由は人それぞれですが、稼いでいることを表に出したくないというのもあるでしょう。


2.福業(ホビー)

2つめは自分なりの幸福につながる「福業」です。自分の好きなこと、こだわりのあることを行う福業をホビー(趣味)とします。

ポイントは、自分が生きていく張り合いにもなる活力資産の構築が目的であり、お金を稼ぐどころか使うことの方が多く、その行為自体が目的となっており、結果として大きな心理的報酬を得ています。

分かりやすいイメージとしては、釣りバカ日誌の浜崎伝助ことハマちゃんです。 彼は釣りが好きで好きでしょうがない。時には仕事そっちのけで釣りに行ってしまうし、週末は全国に釣り旅行にいってしまう。釣りがあれば仕事が辛かったとしても頑張れる。

単なるオタクやマニアというレベルもあれば、ハマちゃんのように自分の人生の一部となっているある種のライフワークのような活動までの濃淡が福業にはあります。


活動を通じて、「好き」を共有できる多くの仲間との出会いや、職場と家の往復では得られないようなサードプレイス的な居場所ができることも福業のメリット。

誰もが程度の差はあれど好きなものはあると思いますが、その好きを究めていくと人生の可能性は意外な広がりを見せると考えています。

3.複業(パラレルキャリア)

3つめは本業感覚でいくつもの仕事に携わる「複業」です。他の組織での経験が本業にも活かせますし、その逆もあります。自分の可能性を拡げて、場合によってはお金にも繋がることがあるパラレルキャリアとします。


ポイントは、シングルキャリアの本業だけでは得難い経験によって新たな知識が身についたり、本業のスキルを発揮し磨かれることで高まる生産性資産、多様な人脈が形成される変身資産の構築が目的です。

パラレルキャリアは金銭的な報酬がメインではありません。内容次第ではお金をいただくこともありますが、経験や人脈こそが主たる報酬となります。

「本当はやってみたいけど、今の仕事を辞めるのはリスクがある」 「複数のことに同時に関わりたい」 といったニーズに応えることができ、この仕事に就いたらどうなるだろうという新しい可能性の実験が出来たり、本業以外にもやってみたいテーマが見つけられる等、選択肢の拡張もパラレルキャリアを実践する醍醐味です。

本業の専門スキルを提供するボランティア「プロボノ」や、二枚目の名刺を持って自分のなかで肩書きを使い分ける活動等もパラレルキャリアに含まれます。

会社を辞めていきなり起業する、または転職をするというのがこれまでの当たり前だったと思いますが、この複業の概念を取り入れて試すことで、辞める前にそのテーマが自分にとって本物かどうかを確かめることができます。言うなれば、社会人版インターンシップかもしれませんね。

リスクを最小限にして「もし、自分が○○という仕事をしたら…」という新しい自分をお試しできることは、転職が当たり前な社会となったいま、大きな価値があるかもしれませんね。

3つのフク業は繋がっている

どのフク業から始めたらいいかは、今一番必要そうな資産を意識してもいいと思いますが、経験的にこの3つはどこから始めても他の2つとリンクしていきます



副業(サイドビジネス)からスタートし、その分野を通して色んな人と出会えてコミュニティが生まれてそれが楽しみとなり、副業自体に面白さを見いだせていけば福業の要素が出てきます。特定の専門性やスキルが磨かれ、それが本業に活かせるようになれば複業にもなります。

福業(ホビー)からスタートし、自分の好きな分野を究めていった先に、そのライフワークをブログで紹介することで副業の要素が出てくる場合があります。講師や先生を頼まれて他者に指導するような立場を経験したり、複業の活動で出会った人が本業の仕事に活かせたりすれば複業にもなります。

複業(パラレルキャリア)からスタートし、本業とは異なるコミュニティで活動をしていくなかで、活動自体に愛着が生まれ、そこが自分にとってのサードプレイスとなれば福業となります。パラレルキャリアとして関わるものは何もボランティアやプロボノだけでなく、ちゃんとした有償の仕事もありますので副業の要素も含でいます。

入口は違いますが、その活動の伸ばし方次第では各フク業の要素を含んだものになっていくはずです。また、人によってはこれらのフク業を意識せずやっていたという方もいらっしゃるでしょう。

どのタイミングでどの資産を意識するかは、それそれのライフステージによって優先度も変わると思いますので、ぜひ考えてみてください。

ちなみに重要な点としてはこのフク業の発展性に気づくには、金銭資産ばかりに気を取られると気づきにくく、そのチャンスを逃してしまうということです。


時には、損して得取れということもある訳ですね。

だかこそ、これから副業をはじめるようという皆さんには、この4つの資産と3つのフク業モデルの概念を頭の隅においてスタートしていただければと思います。

最後に:「まず何からしたらいいの?」という方へ

自分に合っているモデルやどの資産が必要かはご自分の状況を整理しなければなりませんが、なかなか慣れないと自分を客観的に見つめられないと思います。そういった時は一度キャリアカウンセリングを受けてみることをオススメします。

私に限らずキャリアカウンセリングができるキャリアコンサルタントは各地にいらっしゃいますので、ぜひ相談をしてみてください。

私も加盟している一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、プロフェッショナル&パラレルキャリア・支援アドバイザーというフリーランスや複業を行う方のキャリア支援に特化した認定のキャリアコンサルタントがいますので、そういった方にお願いするのもオススメです! (ちなみに、私も有資格者なのでもしご要望があればご相談をお受けすることも可能です)

全国的には、まだ副業=お金稼ぎという認識が強いかもしれませんが、これから副業はもっと当たり前になっていきますし、理想とするライフスタイルを実現するための手段としても捉えられていくようになると思います。この広がりは、地域を問わず全国的になるのも時間の問題でしょう。

どのような形でもいいので、ぜひ自分らしいキャリアを始める第一歩としてフク業をはじめてみてくださいね。

自分の人生の主体者であれ!

【お知らせ】

2019年10月に発行となった、東北OM発起人である山形市役所の後藤好邦さんの著書『自治体職員をどういきるか 30代からの未来のつくり方』にて、私のフク業モデルをご紹介いただきました!


自治体職員をどう生きるか

公務員も多様なキャリアの在り方を考える時代。公務員のキャリア形成について、大変参考になると思いますのでぜひご一読ください。後藤さん、ありがとうございます!

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山本一輝

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