昨年、岩手県宮古市でNPO法人みやっこベースの皆さんと立ち上げ、5月と11月と2回実施しましたルーキーズカレッジ
今年は岩手県宮古市に次いで、3月に勉強会でお邪魔させていただきましたご縁から、山形県の県北に位置する最上地域でも最上総合支庁の皆さんと立ち上げることになりました!
宮古市では今年は6月2日に開催します!
人口流出が問題視され、こぞってUIターン施策に力をいれる自治体が多いかと思います。
しかし、高校卒業しそのまま地元就職して残ってくれた若者たち、そして県外に進学し大学卒業後にUターンしてくれた若者たちに対して、果たして何もしなくても良いのでしょうか。
せっかく地元に残ってくれた、または帰ってきてくれたのにも関わらずサポートが得られないことから、終いには早期に辞めてしまったり、低いモチベーションのまま漫然と仕事をしている若者も少なくないのではないでしょうか。
若者が置かれた環境も、以前のように終身雇用制度を前提とした会社がキャリアをつくってくれた時代とは全く違います。
これまでは、言ってしまえば「代わりはいる」ことから、辞められても人手に困るようなことがなく、企業も自治体もこの問題を深刻に考えたことがなかったかもしれません。
しかし、状況が変わった今、この問題に真剣に取り組むべきフェーズに来ています。
ルーキーズカレッジは単なる新人の地域の合同研修ではなく、地域の未来を担う人材を考え、採用・育成システム自体にメスを入れる取り組みと考えています。
3年以内の早期離職問題の地域への影響
ミスマッチや前向きなチャレンジから辞める人もいるので、辞めること自体は必ずしも悪いこととは考えていません。しかし人間関係、コミュニケーション、将来性や成長という点がネックとなって辞めてしまうというのは非常にもったいないことです。
何十年も前から言われていることですが、若者が減り売り手市場になっている現状ではますますこの問題が深刻になっています。
特に地方中小企業では、事業継承が出来ないことで倒産に追い込まれるケースもありますし、サービス業や製造業では注文があるにも関わらず、人手が足りないため休業日を設けたり営業時間を縮小しなければならいといった現状もあると聞きます。
そして、受動的な理由から逃げるように辞めていく若者たちのその後を案じると、決して明るくはありません。
その後、アルバイトをしながら仕事を探すような若者ばかりではなく、早期に辞めたことで周囲の目に晒され、場合によってはフルタイムや正社員で働く自信も失ってしまい、下手をすれば社会と関わる自信すら失ってしまう人も少なくはないでしょう。
彼らが自立するために公的支援を受けることに対する税金もそうですが、収入はその後の生活にも直結します。消費行動に留まらず、地域から出ていくきっかけ、結婚・出産のタイミングにも影響するでしょう。
家庭をもち子供を育てるといったことにも影響を及ぼすことにもなれば、人口や税収にも波及し得るので、この問題は自治体にとっても看過できない深刻な問題です。
受動的早期離職の引き金となる3つの原因
受動的理由による離職問題を掘り下げたことで導き出されたのが、以下の3つの原因です。
ルーキーズカレッジではこの3つに着目して企画されています。
1.ロールモデルの不在
地方では小規模事業所が占めるところが多いと思いますが、高齢化によって採用した新入社員との年齢差が年々広がっています。
18歳の上に30代がいればまだ良いですが、下手をすれば次は50・60代。
ロールモデルとなるような先輩がいなことで「10年後、この会社で自分はどのように活躍しているのか?」のイメージが湧きにくいという問題がありますし、ともすると親子ほど離れている先輩社員の昔ながらの働き方や価値観に触れ、彼らが言うところの”ダサい姿”に映り「こうはなりたくない」なんて思われてしまうケースもあるかもしれません。
「仕事や働くこと」の目的や意義も変わってきており、この違いに気づかなければ優秀な若者ほど、その職場の文化や価値観、そして自身の将来性への不安から敬遠されしまう可能性もあります。
2.同年代社員や同僚の不在
小規模事業所では毎年採用活動を行わないことが多く、数年に一度というケースが多いと思われます。
厚労省の高卒就職のデータですが、このデータを見てロールモデルや同年代社員の有無と離職率に因果関係があるのではないかと、仮説を立てました。
新入社員にとっては、職場では同年代が少なく、新人特有の不安・仕事やキャリアに対する悩みを相談できる人が身近にいないということもあるでしょう。
就職先が実家から離れたところで初めて一人暮らしをしているような大きな環境変化も伴えば、こうした悩みに拍車をかける恐れもあります。
4月は緊張の糸が張りつめながらも頑張っていたが、GWの連休でその緊張がほぐれ、休み明けから憂鬱になってしまうような五月病も、こうした背景から起きるのではないでしょうか。
3.教育・成長機会の不足
小規模事業所であれば、OJTという名の現場経験を積ませる研修が主で、OFF‐JTはせいぜい電話の取り方や名刺交換のやり方などマナー研修程度。
「いまの若者はコミュニケーション力が足りない」と不足を指摘するにも関わらず、コミュニケーション力向上のための計画的な研修は地方ではほとんど聞きません。キャリア形成につながるような研修などなおさら。
(そもそもその必要性を理解されていないかもしれませんが)
下手をすればきちんと評価を行うための面談もない企業もあると思います。
人事部があったり、人材育成や採用に秀でたHR領域に明るい人材がいるような会社であればまだしも、そういったものがなければ採用戦略や採用後の人材育成の計画もままならないでしょう。
これらの原因に加え、イマドキの若者の価値観や仕事観への理解がなく、自分の時代に通用したやり方で接してしまうことも早期離職を助長してしまっていると考えられます。
未来のための学びを、仲間とまちと
先述の課題を解決するためにスタートしたのが、ルーキーズカレッジです。
地域でともに学ぶ仲間を会社の垣根を超えてつくり、官民合同でキャリア形成やコミュニケーションスキル、ストレスマネジメントなどを学んでもらう場をつくります。
こうした取り組みが浸透することで、苦戦する中小企業の人材採用・育成課題の解決や、UIターン後のフォロ‐アップ施策としても展開することができると考えています。
現在、宮古市は2年目ということで新しい展開も考えています。
各地域ごとの特性に合わせてこうした地域の若年者の学びとつながりの機会をつくり、官民関わらず行われている他の取り組みや事業とのシナジーも生んでいきます。
ルーキーズカレッジが展開されたことで、5年後、その地域の若者たちの活力や地域に対する見方が変わり、新たな可能性が生まれることを期待したいと思います。
宮古、そして最上のみなさま頑張って参りましょう!
もし「うちの地域でもやってみたい」と思われた方がいらっしゃれば、まずは相談だけでも結構ですのでぜひお声がけください。
地方で働く若者たちがイキイキと働けて、仕事だけでなく地域とも積極的にかかわり、そのまちでの暮らしを楽しめるよう、地域ごとに最適化しながら今後ルーキーズカレッジを進化させていきたいと思います。
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山本一輝
Idea partners
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