混雑を避けるGWのピークシフトで、関空を経由して5/10~5/12でお休みをいただき、石垣島へ行ってきました。
八重山そばをはじめ、島は美味しいものばかり。
シュノーケリングにも挑戦し、どこを見ても観光パンフレットのような抜群に綺麗な景色で最高の二泊三日でした。
Peach就航の恩恵で、新潟→大阪→石垣で往復運賃15000円~20000円程度※セール価格で行けてしまうなんて、本当にいい時代になりました。
さて、今回二日間かけて島を回り、宿泊先やお店の方と交流できたのですが、休暇中ながら新潟と比較して色々と思うことがあり、観光・まちづくりという視点で感じたことまとめてみたいと思います。
はじめに:石垣島ってこんなところ
人口は4.8517人(平成30年3月時点)で、10年前から人口は横ばい。
主な産業は畜産業、水産、農業、そして観光業が主たる産業になっています。石垣市のHPによると、観光業は平成25年に石垣空港の開港によってインバウンドが伸びており、平成32年までに観光入域客数100万人を目指しているそう。
また、気になる移住の状況について調べてみましたが…
現在、石垣島へは移住者が年間約5000人ほど移住しているといわれている。内、4000人は本土へ戻り1000人が1年残るそうです。
しかし、この1000人も約500人が無職のまま1年を過ごしお金が底をついて本土へ戻るという状態です。年間5000件の求人が石垣島にあるわけがないのが現状。自分だけは特別に就職できる。と考え移住している人が多いようです。
引用:沖縄移住支援センター
アパートの家賃が高い割に求人数が少なく給料も安いという話からこの実態もうなづけます。人口4万人強で5000人が移住し4000人が本土に戻るっていう流動性もすごいものです。
石垣島の人柄と意識
沖縄本島よりもさらにゆっくりとした時間感覚(うちなータイム)で、ゆったりしていて細かいことは気にしない、いい意味で適当なのかもしれません。
気さくに話しかけてくれるオープンで温かい人柄も印象的で、今回入った飲み屋でもカウンターが一緒になった海外からきた旅行者と地元の方が片言な英語で話していて楽しそうにしている光景がありました。観光客との交流が日常なんですね。
あくまで憶測ですが、自分たちの生活や環境に良さを見出しているからこそ、他よりもこうなろうとか、ああしようという競争意識も弱いのではないでしょうか。
インバウンドの光と影:石垣島・川平地区の高層リゾートホテル開発について
「川平の景観を守る会」という住民団体と、目先の利益を追従しているともとれる市との間に対立が起きているという話を地元の方から伺いました。
今回訪れた川平湾がある川平地区は、石垣島で最も古く伝統文化が残る集落だそうですが、その美しい自然が外資系企業によるホテルの開発計画によって壊される可能性があるそうです。
もともと石垣市には「石垣市風景計画」を策定し、高い建物を集落周辺に建設することを制限していましたが、昨今のインバウンドバブルをにらんで市はこの制限の変更を計画。
川平地区の地元住民からは反対を求める要請書を市へ提出するも、梨の礫で返答無し。
2018年4月には、制限を見直す計画案をもって住民説明会を開いた市からの説明は、既に変更ありきの姿勢であり、地元の建設業組合もこれに賛同しているそう。
もし実現したら、川平地区の景観を損なう高層マンションやリゾートホテルが乱立する恐れがあるそうです。
この話、ホントいかにもウラでお金とか利権とか、色んなものが動いていそうですね。
建物はすぐ作ったり壊したりできますが、一度破壊した景観や美しい海はそう簡単には戻って来ないと思います。
もし良かったら、「川平の景観を守る会」のみなさんがが立ち上げたchange.orgのキャンペーン、石垣島・川平に高層リゾートホテルはいらない! ”建築物の高さ制限緩和”の撤回を求めます!をご覧ください。
市長の政策と対立する市議、移住者や地域の若者など、美しい景観を守ろうとする意志のある方々が結束し行政へ働きかけをしていますが、自分たちが失ってはいけない大切なものが何かが解っていて、そのために一致団結しようという姿勢に心を打たれました。
遠く離れていますが、石垣島とご縁を持った一人として川平地区のみなさんを応援したいと思います。
この一件で思ったのが、もし新潟が今後グローバル化が進み、インバウンドによる観光客が増え観光需要が高まった時、景観や自然環境を意識した開発を官民で連携して行うことができるのでしょうか。
また、行政が行き過ぎた時に、川平地区の皆さんのように一致団結して、自らの大切なものを守るために動けるでしょうか。
今の新潟に、”自分たちが失ってはいけない、かけがえのないものは何か?”と問うたときに、果たしてどんな答えが聞かれるのだろうかと考えさせられました。
石垣島と川平地区の開発問題を通して感じた新潟の2つの課題
新潟の課題①市民の意識
ずっと新潟に住んでいる人に「新潟の観光地でオススメはどこですか?」といったことを尋ねると、「新潟は見るところないよ」という答えが当たり前に返ってくるという話をよく聞きます。しかし、果たして観光資源の有無が問題なのでしょうかね。
沢山の観光客が訪れる観光地が出来たとしても、観光客を惹き付けるだけの地域の人の魅力、そして積極的に自分が感じる魅力を伝えようとする意識がなければ、新潟の現状はさほど変わらないと思います。
今回、石垣島に行って感じたように、新潟に観光にきてもらって関係人口にして帰せるだけの魅力を伝えられる人、またその意思を持った人がどれだけいるでしょうか。
新潟から各地へ出かけた際も、旅先で出会った人に新潟の魅力を自分の言葉で伝えられるでしょうか。「来てくれたら案内するよ!」というご縁をつなぐことができるでしょうか。
観光地や観光資源、そして観光人材でもなく、関係人口増加に貢献することができる人材「関係人材」が圧倒的に足りないという課題があると思いました。
行政が出来ることというより、やはり一人ひとりの意識の問題が大きいと思います。
川平地区の開発問題で私が関心をもったように、訪れてくれた人にその後も新潟のこれからを気にかけてもらえるような関係力をもった存在が新潟でもっと増えてほしいですね。
新潟の課題②コンセプトと見せ方
先日、新潟市の財政が厳しくて市のビジョンも定まっておらず、市長自身も見通しが甘かったということを認めた記事がNHKの取材でニュースになっていましたね。
最近では開港150周年を控えてPRしていますが、Uターンして戻ってきた者としては、県外からは横浜や神戸のような港町のイメージが全くありませんし、やや急な路線変更に感じます。
他にも政令都市として音楽や芸能など文化でPRする側面もあったり、お決まりの食は国家戦略特区としてニューフードバレー構想を掲げ農家レストランをはじめ規制緩和を行っています。
正直、港町なのか、食なのか、文化芸能なのか、PRがどれも中途半端で、その計画もやや一過性に感じます。また、これだけいろいろと手さぐりにやっているとますます予算もマンパワーも分散してしまうのではないかと心配です。
そして、県でいえば新潟県観光協会のうまさぎっしり新潟ではないかと思いますが、果たしてこの”ぎっしり”って具体的に伝わっているのでしょうか。
新潟県民はぎっしりの中身にいろんなものが詰まっているというのは理解できますが、未だに県外の旅先で新潟のイメージを聞くと、米と酒しか回答に上がってきません。あと、スポーツ好きな人は時々アルビレックス新潟ですね。
これって、プロモーションとして成功しているのでしょうか。
新潟は改めて、ターゲット設定とそのインサイト(顧客心理の分析)を行い、内向きではなく外向きの視点で企画・戦略を立てないと、いまいち伝わららず、米と酒の県で終始しそうです。もちろん、それがそもそものねらいなら、それもいいですが…
石垣島ではインバウンドもありますし、環境も違うので直接対比ができませんが、島に訪れる人たちが何を目的にしているかがよくわかっていて、情報も発信も外向き(我々が欲しいもの)が押さえられ、行き届いているように感じました。
ちなみに、今回泊まった宿では、新潟の食コンテンツについて話をしたところ「食にこだわりのあるフランス人、自然や体験にお金を使うオーストラリア人に上手く伝えられるともっといいよね」というアドバイスが。
自県でもないのに容易にこんな提案ができる観光リテラシーにびっくり。新潟で観光業に従事している人を除くとこういう話ができる人は稀かもしれません。
コンセプトや見せ方が定まらない、選択と集中ができないってことは、これから観光需要が増えたときに官民が一体となるのも容易ではないでしょう。
旅を振り返って
今回、往路であんなにも遭遇していた外国人の方々も、関西国際空港から新潟に戻ってくる便には残念ながらほとんどいませんでした。
関西の方にも新潟行ったことあるかと聞くと少数派であり、やはり認知されているものの関心をもたれていないという印象です。
実際に今回の旅で体験した会話ですが、
「新潟というと米と酒ですよね」
「他にどんなものがありますか?何が有名ですか?」
この回答に、新潟の人たちがどんな答えをしているのか気になります。
現状の新潟が交通インフラが整いキャンペーンをして訪れてもらったとしても、恐らく出会う人次第ではそれほど印象に残らないまちというイメージを与えかねないと思います。
いろいろと課題を好き勝手指摘して終わると「じゃあお前は何をやるの?」と各所から言われそうなので、私が出来ることを最後に考えてみました。
それは「山本がいるから新潟に来たよ」「山本が紹介するから新潟に興味持った」と県外の方から言ってもらえるような、新潟の関係人口を増やすための関係人材であること、そして来てくれた方々と新潟のいろんな人や場所をつなぐ関係案内所になろうと思っています。
あ、これまでもやっていましたが改めて、ということですね。
この話は色んな方から意見を聞きたいと思いますので、もし読んでもらった方で思うところありましたら異論反論なんでも結構ですので、ぜひ語りましょう!
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山本一輝
Idea partners
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