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喪失ではなく創造へ。米沢興譲館高校「探究フォーラム」



7.14(火)、15(水)と行われた米沢興譲館高校国際探究科・理数探究科合同イベント「探究フォーラム」にて基調講演と振り返りワークショップを担当させていただきました。


コロナウイルスの感染拡大を受けて中止となってしまった3年生の海外研修、そして長期間に渡った休校…

探究科一期生である3年生の探究学習の締めくくりとして企画したものであり、これまで積み重ねてきた探究活動を中途半端に終わらせず、進路や未来の自分へと繋げてほしいという先生方の願いが込められた手作りのイベントでした。


フォーラムのテーマは「喪失ではなく創造へ」


本番を迎えるまで、探究科長の廣瀬先生とはオンラインでの打ち合わせを綿密に繰り返し、2日間のプログラムを壁打ちし、ねらいと各コンテンツ同士のつながりやその後の活動も意識しながら練り上げていきました。


初日のマインドセットづくりとなる基調講演では「これからの世界との向き合い方 withコロナ/Afterコロナをいかに生きていくか」と題し、今世界で起きている複雑な問題の因果関係で整理するシステム思考とジョアンナ・メイシーの「tha Great Turning」を紹介。



その後各コースに分かれて活動をスタートし、2日間を通してアウトプットと振り返りを積み重ねていきました。





これまで論理的思考力や表現力を磨いてきた彼らだからこそですが、大人でも難しいシステム思考の飲み込みも早くて驚かされました。



ちなみに、これからの時代の教育と資質能力としてデザイン思考とともにこのシステム思考が注目されています。


2日目の午前中は探究学習の成果をポスターセッション。英語で作成して英語でプレゼン。

オーディエンスは地域の方、大学教員、国際交流支援員、そして2年生たち。



山本も簡単な英語ですが、たどたどしくも質問させてもらいました。生徒達の方が確実に英語上手です(笑)



プログラムのなかで特に印象的だったのが、これまでの探究学習の経験をこれから探究学習に取り組む2年生へ向けて語る、探究科2、3年合同探究ワーク。



2年生は事前に問づくりをしその問いを持って3年生にインタビューをするという流れで、探究学習を通して身に着いた力や強みを言語化し、その経験を後輩たちに語る姿は本当に素晴らしかったです。




3年生の生徒のなかには、「1年前は、探究学習に時間を割くくらいなら受験勉強に割いた方がいいのではと思っていて、正直探究学習をすることに前向きではなかった。1年間やってみて多面的な視点が得られ、進路についても大学進学に留まらず様々な見方ができるようになった。やってよかった」と語っている子もいて、進学校における探究学習の本質的な意義を改めて感じた瞬間でした。


探究学習がこれからの社会で重要であることは言わずもがなですが、実際に取り組む生徒たちがそれをどう捉えているかはまた別の話。

この状況下でも将来への希望を抱き、強い探究心と学びへの直向きな姿勢から、ここに至るまでの先生方のご苦労と傾けてきた熱量が透けて見えて、2日間だけのお付き合いでしたが感慨深い思いでした。

2年生もこれから探究テーマを決めるタイミングということで、1年後の先輩たちの姿から大きく影響を受けたことでしょう。



クロージングで行った振り返りワークショップでは、2日間の一連の体験と学びをそれぞれの言葉で意味づけしてもらいました。



この数か月間で様々な感情とともに味わったであろう喪失体験を彼らなりに浄化し、自分と世界の未来へと繋がる経験へと創造する…2020年にコロナを経験し、これから大人になる自分たちが社会で為すことへの原体験として、意味づけしてもらえたのではないかと思います。

いま全国で探究科・探究コースが設置されはじめていますが、地域との密な協働関係や非認知的スキルの育成、加えて進路実現を共存させている点でいえば、米沢興譲館は一つの理想的なモデルといえるかもしれません。



この2日間は先生方とたくさん対話させてもらいましたが、単なる受験指導ではない「未来を切り拓く力」を育もうとする意志。教員の学ぶ姿勢、そして個の俗人的な取り組みではない学校組織として臨む興譲館高校のあり方は、全国の変化を拒む高校が学ぶことが数多くあるのではないでしょうか。


私自身も探究学習の総括プログラムの企画設計と一部進行をさせてもらい、才能あふれる生徒の皆さんとのコミュニケーションにたくさん学ばせていただきました。


ICTや学びの個別化など、現代に求められる教育をいち早く実現させたN高校の存在が注目される中で、いま公教育は休校への対応やGICAスクール構想の前倒しと大きく揺れています。


本質に立ち返り地域の学校はその使命と役割を改めて見直すべきタイミングなのかもしれません。


”志や哲学を有する未来志向の学校は、生徒だけでなく関わる地域の大人も育てる”


「学びの土壌」が地域と教育の協働の文脈では語られていますが、興譲館高校の学びを見ていて、今回そんな言葉が浮かんできました。



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山本一輝


Idea partners


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